2003年01月07日

かわらない場所

Posted at 03:52 | まいにち | 0コメント

わたしにとって、そこはとても大切な場所でした。

私がそこで時を過ごしたのはもう10年以上前のことです。
それでも、そこはずっと特別な場所であり続けました。

もう行く必要がなくなった後も、迷ったとき、心の収集がつけられなくなったとき、そこに足を運ぶことがありました。
私はもうその頃の私ではないし、昔に戻りたい、だなんて感傷めいた後悔があるわけでもありません。かつてはとても親しい街だったそこも、もう私が知っていた街ではなくなっています。
それでも、まだうっすらと見覚えのある道を歩いて、同じお店でお茶を飲みながら、ぼんやりと窓の外を眺めていると、知らずしらずのうちに大きくずれてしまった最初の位置に立ちかえっていくような、そんな気がしたのでした。


年末、数年ぶりに訪れたそこは、大きく姿を変えていました。
すっかりきれいになってしまったその場所に、もう私がいたころの面影はまったくありませんでした。

驚かなかったと言ったら、それはうそになります。
けれども悲しくはありませんでした。
ただ、この時がきてしまったんだ、と、心のどこかで感じている自分がいました。

過ぎていく時間の前で、変わらないものは何一つなく、思い出さえも例外ではありません。
それでも、過ごしてきた過去が消えてなくなるわけではないのだから、変わり続けることを恐れる必要はなにもないのでしょう。

今はもうなくなってしまったその場所が私の中で変わらず大切な場所であり続けるように。
私の思い出の中に、全ては私の中に、確かに残っているのだから。

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